〜内面を育む“書く力”とその実践上の工夫〜
ジャーナリングは単なる日記ではなく、自らの思考や感情、体験を自分の言葉でアウトプットする手段です。米国では幼児〜10代向けに教育的・心理的な効果が広く認識されており、多様な実践事例や研究があります。ここでは、そのメリットと実際に直面しやすい課題を整理します。
メリット(子供にとっての恩恵)
感情の認識と表現が上手になる
子供はまだ感情を言葉で表現する力が未熟です。ジャーナリングを通じて、「怒っている」「寂しい」「楽しかった」など、自分の感情を言葉にして理解する力が育ちます。
米国の学校カウンセリングでは、トラウマのケアや不安障害支援の一環としてジャーナリングが導入されており、ストレス管理や情緒安定に効果があると報告されています。
自己理解・自己肯定感の向上
自分の思いや経験を書くことで「自分ってこんなことを考えているんだ」と気づき、自分自身を大切にする気持ち(自己受容)が育まれます。
書く内容を振り返ることで「前よりできるようになった」「これが好きなんだ」と気づく機会にもなり、自己肯定感や自己効力感を高める効果が期待できます。
思考力・言語力の育成
ジャーナルは自由に思考を展開しながら構造化する訓練にもなります。
特に、理由づけや順序立てて書く経験は、将来の読解力や作文力、論理的思考力に繋がります。
米国の教育現場ではリーディングやSTEM教育と組み合わせ、学力向上の土台作りとしても注目されています。
創造性の育成
ジャーナリングは絵を描いたり物語を考えたりする自由な活動としても活用できます。
「もし自分が動物だったら?」「未来の乗り物を想像してみよう」といったプロンプトで、想像力や表現力が伸びると言われています。
日常の安心ルーティンになる
決まった時間に「今日の気持ちを書く」という習慣は、子供にとって精神的な安心感をもたらします。
特に就寝前に行うと、頭と心の整理ができ、睡眠の質の向上にも役立つとされています。
子供向けジャーナリングのデメリット(課題・注意点)
書くことに対するストレス
書くのが苦手、字に自信がない、そもそも面倒くさい……と感じる子には、逆にプレッシャーや負担になる場合もあります。
特に文字や文章の練習を兼ねると感じさせてしまうと、「評価されるもの」と誤解されて、書くことが嫌になるリスクも。
完璧主義の悪化や自己批判
「もっと上手く書きたい」「いいことを書かなきゃ」と思いすぎて、自己否定に繋がるケースも一部で報告されています。
完璧を求めるあまり、なかなか書き出せなかったり、自分の感情を否定したりすることがあります。
プライバシーの不安
自分の気持ちを書いたノートを誰かに読まれることを恐れて、安心して書けなくなる子もいます。
特に家庭や学校で「先生や親が読むもの」という印象があると、正直に書くことを避けがちです。
定着しにくい・習慣化の難しさ
書くこと自体が習慣になっていないと、三日坊主で終わってしまうこともあります。
続けることが重要なので、「毎日同じ時間に書く」「親が一緒に書く」など、家庭での協力やサポートが鍵になります。
まとめ:効果を引き出すための工夫
- 「うまく書く」ことより「自分らしく書く」ことを尊重
- 書き方を選ばせる(絵、リスト、話し言葉でもOK)
- 書く時間と環境を安心・楽しくする
- 継続より「書けた体験」を喜ぶことを優先
参考サイト:

